マラソンのトレーニングの一つ、LSD(Long Slow Distance)は本当に効果があるのか?これはネット上で検索しても私自身今一つ正解が見いだせない議論です。LSDについて書かれた記事はありますが、明確に効果があります!って記事は見たことがないです。要は自分で体験してみるしかないとなんですよね。実際、プロ選手でも取り入れているケースもあるようなのでこの記事では効果があると仮定して話を進めていきます。重要なのは何の為にLSDをやるのか?どうやるのが正解なのか?を理解することですよね!
そもそもLSDとは?
まずは、LSDとは何か?からおさらいしてみましょう。LSDはLong Slow Distanceの略です。日本語的に言うと長い距離をゆっくりと走るというトレーニング方法の一つです。この意味だったらLong Distance and Slow PaceにしてLDSPとかの方が分かりやすいとLSDを知った当初から思っていました。それはどうでも良い話ですが、まずは手っ取り早くWikipediaから引用してみます。
Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス、LSD)は、ランニングやサイクリングにおいて有酸素持久力トレーニングの1形態を指す。LSDトレーニングにより、循環器系の機能、体温調節の機能、ミトコンドリアのエネルギー生産能力の向上、骨格筋の酸化容量の増加、燃料として脂肪を利用する割合の増加といった身体機能への影響がある。
循環器系とはつまり血管やリンパ管のことです。LSDの効果の一つとして良く語られる毛細血管の発達というのはこのことなんでしょうね。全身に酸素を供給するための血管が発達すれば心肺機能がグレードアップします。体温調節機能が向上すればランニング中の体温の過度な上昇を防げそうです。ミトコンドリアとは細胞です。様々な役割をもっているようですが、その一部に酸素を利用して炭水化物をエネルギーに変換し供給する働きがあるようです。また、持久力系のスポーツに有利な遅筋に多く含まれ、速筋のグリコーゲンを乳酸を経由しミトコンドリアで使われているそうです。
とにかく、文章だけでみるとLSDはマラソンなど持久力系のスポーツには良い影響がありそう。そしてもう少しWikipediaの続きを見てみましょう。
中程度の強度で行うLSDは、あまりトレーニングを積んでいないか、あるいは適度にトレーニングを積んだ人にとって、有酸素摂取量と最大酸素摂取量を向上させる上で効果的である。
〜中略〜
より強い練習強度を必要とするような、よくトレーニングを積んだ人がLSDを行ったとしても、更なる代謝の調整能力を向上させる上では効果的ではないものと考えられている。
つまり、初心者から中級者レベルであれば効果があるが、上級者になると代謝能力の向上は期待できないということ。プロランナーも取り入れてるって何かの記事でみたことがありますが、理論上はプロにとってはあまり意味のないトレーニングなのかもしれません。
ここで疑問なのが自分がどのレベルなのかということです。一応自己ベストではサブ3を達成したことがあるので中級者以上であるとは思っています。でも上級者とは思っていません。私の月間走行距離は平均250km。平日は10kmの帰宅ランを3本。うち1本はポイント練習と捉えてハイペースで追い込みます。週末は20km〜35kmのペース走を土曜日と日曜日で行います。ちなみにラン以外に月1回か2回くらいスイムも取り入れたりしています。平常時の心拍数は40代後半なので一応スポーツ心臓なんでしょう。それでも、上級者の人たちは月間500kmとか普通に走ってると思いますし、もっとタフなトレーニングを積んでいることでしょう。
ということで、私は中級者レベルという括りで考えてLSDでまだ心肺機能のアップを図れるレベルであると考えておくことにしましょう。そうじゃないと話も進まないので(笑)
LSDのやり方
次にLSDで効果を出すためにはどのようなやり方が良いのかを考えてみます。
LSDの生みの親でもあるジョー・ベンダーソン氏は、10キロ走る時のペースと比較して1マイルにつき1〜3分遅く心地よく走れるペースが最適と言っています。1キロは約0.62マイルですがあまり厳密にやりすぎてもしょうがないのでざっくり0.5マイルとしましょう。そうすると、ジョー・ベンダーソン氏の推奨ペースの半分なので、通常のペースよりも1キロあたり30秒〜1分30秒遅いペースで走ると良いことになります。1キロ5分で走れるランナーであれば5分30秒~6分30秒の間で心地よく走れるペースを見つけなさいってことですね。
一方で、日本のブログとかで目にするLSDのペースってもっと遅くないですか?私がよく目にするのは、キロ8分や9分ペースで走るといった内容。このペース配分に関してはネット上の記事では様々で7分~8分ペースって言う記事もあれば10分以上かけて走るっていう記事も目にしたことがあります。
アスレチックコーチのアーサー・リディアード氏やホノルルマラソンの父と言われているジャック・スカーフ氏によると、LSDは会話を続けられる程度のペースで続けるべきだと言っています。彼らはLSDのペースを測るために走りながら会話できるかのトークテストを取り入れていたそうです。ただこれは古典的な手法ですしやはり定義も曖昧です。
LSDの運動強度
Jen Reviewsというサイトの著者の1人である、スポーツサイエンティスト兼トレーナーのAerobic Endurance Trainingというタイトルの記事があります。その記事の中でLSDもトレーニングの1つとして紹介されています。そこではVO2max(最大酸素摂取量)の70%以下か最大心拍数の80%と同等レベルの運動強度が適しているとしています。そして、彼もまたトークテストでペースを評価することを推奨しているようです。
VO2maxは最近では高価なGPSウォッチで目安が測れるようですが私はもっていないので良く分かりません。最大心拍数に関しては定義が明確に書かれていないのですが、多分自己ベストを狙うくらいのレースペースの最大心拍数で計算して80%と言っているんだと思います。American Heart Association(アメリカ心臓協会)では220-自分の年齢で最大見込心拍数の目安が分かるとしていますが、この計算式を使って80%だとLSDどころか、結構きついペースになります。例えば40歳だと220-40=180bpmが最大見込心拍数。この80%は144bpmです。この心拍数のペースでLSDとは言えないでしょう。Slowはどこいった?って話になりますしトークテストに合格するのも難しいでしょう。これはあくまでも最大でこの心拍数まで上げられますよっていう見込みです。普通のランナーで自己ベストくらいのペースだと大体150bpm~160bpmくらいになるのでないでしょうか。間をとって155bpm×80%=124bpmなので、まあまあ余裕をもって走れるペースですね。この心拍数でトークテストにクリアできるペースを見出すのだと思います。あ、これあくまで推測でご本人に確認したわけではないので真偽のほどはさだかではありません。
一方、日本では前述した通りLSDのペースは7分~8分とか10分以上かけて行うって言われています。実は最近、これらの情報は少し怪しいと感じています。なぜなら、心肺機能の強さは人によって違います。人によって違うのにペースを限定されてしまっているのはどうなんでしょう。
LSDの効果を列挙してみると
- 循環器系の機能
- 体温調節の機能
- ミトコンドリアのエネルギー生産能力の向上
- 骨格筋の酸化容量の増加
- 燃料として脂肪を利用する割合の増加
ということでした。これらを得るためには、自分に適したペースを見つけるべきだと思います。実際、先日1キロあたり8分ペースのLSDを行ってきました。足にしっかりと負荷をかけるために終始フォアフットでノロノロ走ってみましたが心拍数は上がってきません。これで本当に心肺機能の強化が実現できるか疑問を感じます。ということで、LSDの強度は
それと、LSD関連のネタには長い時間走り続けられる足作りになるという内容があります。これは確かにその通りでゆっくりペースでも3時間も走っていれば筋肉にしっかり負荷をかけることができるので強ち間違いではないでしょう。
サブ3ランナーのLSD推奨ペース(検証中)
- 心拍数120bpm〜128bpm
- ペース 5分30秒〜5分0秒/km
くらい?多分(笑)
色々なペースで検証しなが確かめていきたいとおもいます。
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